赤色立体地図は、数値標高データ(DEM)から、傾斜量を赤色の彩度で、尾根谷度を明度にして調製した全く新しい地形の立体表現手法です。
赤色立体地図は、従来の地形表現手法の欠点(拡大縮小に対する脆弱性、方向依存性、実体視や赤青フィルタが必要など)を克服し、一枚の画像で様々な地形が詳細に立体的に表現されます。
赤色立体地図の製作には、アジア航測株式会社が保有する特許技術(日本、米国、中国、台湾で登録済み)を使用しています。
火山地形・地すべり地形・断層地形の把握、遺跡調査、古墳調査、石垣、観光案内用マップ、登山用マップなど多目的にお使いいただけます。 [特許情報]
赤色立体地図は、2002年に航空レーザ計測結果を表現(可視化)するために開発されました。
航空レーザ計測は、膨大な量の数値地形データが取得できます。
しかし、従来の等高線図で表す手法では、取得したデータの内、所定の等高線間隔と一致する一部のデータしか表現できませんでした。
あるいは、たくさんのデータを用いて等高線を生成すると、等高線と等高線の間が狭まりすぎて、凹凸の入り混じった地形は表現しにくいといった不都合が生じました。
そこで、等高線という「線」で表現していた地形を、「赤色の彩度と明度」を使って 「面」で表現しました。
全ての数値地形データを使う方法に変えたことにより、地形の細かな凹凸が見えるようになり、実際の現地の地形状況を見た目どおりに表現できるようになりました。
また、従来は地形を把握するために、2枚の空中写真を立体視していましたが、1枚の画像で立体的に見えるようにしました。
赤色立体地図では、傾斜が急な面が赤く、尾根は明るく谷が暗くなるように表されます。
微地形と大地形が同時にわかるのが特長で、特に微地形の特徴抽出に優れています。
赤色立体地図の作成方法は、はじめに計測したDEMデータから計算により、斜度と 地上開度、地下開度を求め、地上開度と地下開度から尾根谷度を求めます。
斜度画像を赤の彩度に割り当て、尾根谷度を明度に割りあてて、画像を作成します (下グラフ参照)。
表層崩壊
斜面崩壊のうち、山の表面をおおっている土壌の部分だけが薄く崩れ落ちる場合を表層崩壊と呼んでいる。表層崩壊の跡地は、地表をスプーンで削り取ったような楕円形の窪地として現れることが多い。図で示した箇所は、現在では森林となっているが、航空レーザ計測と赤色立体地図により、不明瞭ながらも過去に多数の崩壊が発生したことを示している。
深層崩壊
斜面崩壊のうち、すべり面が表層崩壊よりも深部で発生し、表土層だけでなく深層の地盤までもが崩壊土塊となる比較的規模の大きな崩壊を深層崩壊と呼んでいる。図で示した地点には、深層崩壊起源と考えられる地形が見られる。崩壊地の下方には、崩壊(その後の継続的な小崩壊)によって運ばれた土砂が小規模な扇状地を形成しているのが確認できる。
地すべり
山地や丘陵地、台地を構成する地質の一部が、下方に移動することで作られる地形であり、円弧状の急崖(滑落崖)とその下部に位置する比較的平坦部分(移動土塊)で構成される。図に示した部分には明瞭な地すべり地形を残している箇所が確認できる。
旧河道(三日月湖)
現在の河道沿いに古い流路(旧河道)が確認できる。これらの旧河道には、本流と切り離されたあとも水を湛えている箇所があり、三日月湖と呼ばれている。小貝川周辺にも古い流路があり、図に示したように三日月湖となっている。
樹木のかげで空中写真では判読しにくい小規模な崩壊地も、赤色立体地図を判読することにより明確に把握できます。
この表層崩壊は、尾根から一定の距離に並んで発生しているのが特徴で、斜面の水文学的性質によるものと考えられます。